第1章

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―気持ちが悪いな。 その日の俺は、とても変な夢を見ていた。 少女の声と女の人の声。 何かが壊れる音。 頭痛。 体中から震える様に力が溢れて止まらない。 胸が、焼ける。 暑いような、寒いような。 紫と緑と黄色と…色んな色がマーブルを描いて溶ける。 息が、 息が、詰まる― 「ぅあっ!!」 俺は、身動きが取れずに息だけ吐き出して目を開けた。 「うー?」 小さな女の子と目が合った。 「…は?」 俺は汗ばむ身体を起こして状況を見た。 外。 ベンチ。 晴れ。 病院の門。 バス停。 少女。 そして…桜。 柔らかな春の日差しを浴びて、少しだけ、咲きはじめていた。
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