第1章

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―全然覚えてない。 ―今、何日なんだ? 「すみません、今日は何月何日なんでしょうか」 頭を下げながら俺は部長に言う。 「そんな事も忘れてしまったのですか?今日は3月15日、月曜日ですよ。」 「さんがつ…じゅう…ごにち…」 ―6日も記憶に空きがある。全く思い出せない。 俺が苦悶の表情をしていると、部長は、ふん、と浅く笑って会社へ入って行った。 ―6日。 その間に、なにがあったんだ。 そういえば何であのベンチで寝てたのかも思い出せない。 頭が痛くなってくる。 視界がゆっくりと揺れる。 頭を抱えてみても、気休めにしかならない。 テレビをつけたばかりの、電磁波が動くような音が頭の中を行き交う。 俺は、その場に立ち尽くすしか無かった。
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