0人が本棚に入れています
本棚に追加
―全然覚えてない。
―今、何日なんだ?
「すみません、今日は何月何日なんでしょうか」
頭を下げながら俺は部長に言う。
「そんな事も忘れてしまったのですか?今日は3月15日、月曜日ですよ。」
「さんがつ…じゅう…ごにち…」
―6日も記憶に空きがある。全く思い出せない。
俺が苦悶の表情をしていると、部長は、ふん、と浅く笑って会社へ入って行った。
―6日。
その間に、なにがあったんだ。
そういえば何であのベンチで寝てたのかも思い出せない。
頭が痛くなってくる。
視界がゆっくりと揺れる。
頭を抱えてみても、気休めにしかならない。
テレビをつけたばかりの、電磁波が動くような音が頭の中を行き交う。
俺は、その場に立ち尽くすしか無かった。
最初のコメントを投稿しよう!