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「おぉ、ヒーラー。何したんだ?」
投げたはずの試験管が返ってきている絡繰りを聞いた。
「反転ゲートを出しただけだよ」
一種のワープの様なものだ。
この子は名前はアーネス=ヒーラー。
この学院で美嘉以外に唯一仲のいい友達だ。
見た目は可愛い女の子にしか見えないが本人曰わく『僕は男だ!』らしい。
「よくとっさに出せたものだな。さすが優等生」
「勘だよ。キミチャンが何か作ってたし。美嘉ちゃんならそれでイタズラするのは目に見えてる」
お前も言うかその名前を呼ぶか…。
「『キミチャン』はやめてくれないか…屈辱的だ…」
「そうかな~?僕は可愛いからいいと思うよ」
本人が嫌がってるんだからやめてほしい…。
「わ、私の…ゲホゲホ、方が…屈辱的だよ…」
頭が爆発して煤まみれの美嘉はかろうじて立ち上がる。
目がうつろなのは魔力が減少しているからだろうな…。
「自業自得じゃないか。人が作ったものでイタズラをしようとしたんだから。その代償としては等価交換できてる」
「ヒーチャンが…ゲホゲホ。返してくるのが…悪いんだよ…」
美嘉の口調も辿々しい。
「もしも僕が魔法で返さなかったらこうなってたんでしょ?そんなの嫌に決まってるじゃないか」
だろうね。
「魔障壁で…いいじゃん…」
それもそうだな…ボクも魔障壁だったし。
「何となく反転魔法がとっさに出たんだもの。美嘉の日頃の行いがいけないんだ」
それはしかたないな。
「もういい…コレとシャワー借りるよ」
美嘉は戸棚を開けて、ボクが魔力回復用に作っていた強めの薬を一気に飲み干した。
「シャワーなんてないよ」
そんなもん………ありません。
「知ってるのよ。キミチャンが学院長にシャワーをこの部屋に作って良いか聞いてたことぐらい。それが受理されたことまでね。このことみんなに話ちゃうよ」
美嘉は飲んだ薬の効果がでてきたのか流暢に話し出した。
その薬に自信なかったのに…効果的中か…。
学園の生徒にバレても面倒くさい…。
「しかたないな…」
ボクは本棚に呪文をとばすと本棚が動きだし扉が出てきた。
「すげ~キミチャン。隠し部屋 BY シャワールーム~」
中に入るなり大声で訴えてきた。
「『キミチャン』はやめろって…」
「絶対にのぞかないでね~」
美嘉はそれを捨て台詞にシャワールームへ入っていった。
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