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晩餐会迄時間があるという事でリーベンヌに誘われて勇二は城内をリーベンヌと共に歩いていた。
美紗は晩餐会が始まる迄の時間をリラクゼーションを受けながら待つ事にしたみたいであった。
程無く二人は大きな扉が開け放たれた部屋へ着いた。
「ここは・・・二年前迄は封印の間と呼ばれていたが、今は英雄の間と呼ばれている場所だ。
さっき話した、人間界から来た赤い音戦士スクリームの像が飾ってある。
せっかくドニントンに来たのだから見てみたらどうだろう?」
と勇二に促した。
「ああ、折角案内してくれたんだしな」
と勇二はリーベンヌと英雄の間へと入って行った。
英雄の間となったこの場所は今は改修され二年前は壁だった部分は窓となり明るい光が差し込んでいた。
その光溢れる部屋の真ん中に赤い音戦士スクリームの石像があった。
大剣を抱え、背中には鋭角的な翼が4枚あり姿は自分が先程音戦士と変化した状態とは違う様であった。
「これが・・・君達の世界からこのドニントンに来て、長い戦いを終わらせた救世主だ」
「そうか・・・この人も俺みたいに偶然この世界に?」
と勇二はスクリームの石像を見ながらリーベンヌに尋ねた。
「ドニントンの戦いに巻き込まれて、メタリングを手にした経緯は偶然なんだが・・・」
と自分も関わっていた二年前の出来事を語りだした。
勇二は英雄の間を出て、今は晩餐会の席上に居た。
席上には女王であるミイフーヌ、リーベンヌとその妻であるロクサーヌ、戦闘部隊隊長の髭顔のムーアックに勇二と美紗という少数だが重要人物が卓についていたが、流れる雰囲気は穏やかであった。
「このお肉、凄い美味しい~火加減も絶妙~」
と脂身の少ないステーキを頬張りながら美紗はご馳走の数々の感想を漏らした。
「お口に合ったなら良かった」
とミイフーヌが笑顔を浮かべて美紗を見た。
「こんなご馳走って食べた事無いよ~ありがとうミイちゃん」
と友達の様に答える美紗に勇二は驚くばかりであった。
先代女王というロクサーヌは穏やかな顔でこちらを見ていた。
「私とロクサーヌは互いを滅ぼしあおうとしていた・・・」
と英雄の間で聞いた話が頭に過ぎった。
だが、今の二人は中睦まじい夫婦で過去にそういう凄惨な出来事があった等と微塵も感じさせない様子だった。
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