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自分がもし、赤い音戦士となった城戸一樹の立場だったらどうするだろう、と考えながら肉を切り分けていると
「葛城さん、お肉嫌いなんですか?」
と屈託無い表情で美紗が尋ねてきた。
「え?」
と勇二が問い返すと
「あんまり食進んで無いみたいだし、良ければ頂けるかなぁ~って思って」
「・・・これは俺の肉です。
ちょっと考え事してたんです」
と軽く憮然としながら美紗に答えた。
「減点3」
と美紗は勇二に宣告した。
美紗を救出して数時間で評価が下がり続ける事に軽く暗然としながらも、美紗から肉を守る様に少し急ぐ様に蕩ける肉を口に運んだ。
その様子を見つめる四人の視線が穏やかだったのも、勇二には若干痛い事だった。
やがて、メインディッシュは終わり今はデザートを食べながら談笑になっていた。
人間界の質問はほぼ美紗が答えている有様であった。
特に女王であるミイフーヌとは息投合した様子で
「ロクちゃんとリーちゃんが私達の世界来た事あるんならミイちゃんとムーちゃんも遊びにおいでよ~」
と事情を知らない美紗はミイフーヌに促した。
「ええ・・・一度は行ってみたいね。
夜も眠らない町だって聞いてるわ」
と女王では無く、年頃の女の子の会話を楽しんでいる様子だった。
ロクサーヌは穏やかな表情を浮かべながら勇二に尋ねた。
「アナタがメタリング無しで音戦士になれたのはこの人から聞いたけど」
と言ってリーベンヌをちらりと見て
「アナタの大切なネックレスが触媒となり変化したのは解るけど、そもそも音戦士は音の資質が無いと変化出来ないのよ。
アナタは何か強い音に対する記憶があるのかな?」
と勇二を見た。
「音楽は好きだけど、音楽活動やってた訳じゃ無いし・・・強いて言えば、昔から人の足跡が他人には聞こえ無いけど俺にだけ聞こえてるって位かな? あと、この世界にさっきの造魔って奴が現れた時に空気が振動する様な音が聞こえた・・・って位だよ」
と珈琲を飲みながら勇二は答えた。
「成る程、空間転移の時に発生する微弱な音波を感知出来る・・・音戦士の資質はあった訳ね。
しかし・・・メタリング無しで変化出来たのは謎のままだけどね」
とロクサーヌは勇二に告げた。
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