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勇二と美紗はドニントンでの晩餐会を終えて、今は西京大学の音楽室へ戻って来ていた。
来た時は朝であったが、もう辺りは闇に包まれていて音楽室には碧も二条の姿も無かった。
勇二は携帯を取り出し早速碧に電話を掛けた。
「もしもし、葛城ですけど」
「な・・・なんでも屋さん、無事だったんですね?
あの後・・・音楽室戻ったら刑事さんしか居なくて」
「ええ、変な場所に飛ばされちゃって、でも加藤美紗さんは無事に見つかりました」
「本当ですか!!」
「ええ、今美紗さんと代わります」
そう言って勇二は美紗に電話を渡した。
「碧~~何か心配かけちゃったみたいでゴメンね~
私、全然ッ大丈夫だよ~
凄いトコ行っててご馳走食べてさぁ~」
「ご・ご馳走?
と碧が驚く様子が勇二には目に浮かぶ様であった。
「そ~なんよ~もう超美味し・・・」
と話す美紗の会話を遮り
「とにかく美紗さんは無事ですので、今日は美紗さんの自宅へ送ります。
明日、また事務所へ来て頂けますか?」
と勇二は碧に尋ねた。
「解りました。
美紗に後で家に来るって伝えてて貰えますか?」
「はい、では明日お待ちしてます」
と碧に告げ、通話を切った。
美紗は勇二を肘で軽く小突いて
「減点4・・・だけど、ありがとうございました。
ただ・・・もう少し笑顔が欲しかったなぁ~」
とベッと舌を出して笑った。
「・・・では、帰りましょうか」
と勇二は固い笑みを浮かべた。
「固い固い~本当見た感じイイし素材として最高なのに~勿体無いすよ」
「お・俺が・・・素材?」
と思わず勇二の声がひっくり返った。
美紗はニヤリとして
「フフフ、女子に耐性無いんすね?葛城さん」
と色々絡んで来る美紗に辟易しながら二人は音楽室を出て、美紗の家へと向かった。
依頼は果たしたがこのやるせなさは何だろう?と勇二は思っていた。
勇二は美紗をバイクの後ろに乗せ自宅へ送り、今は事務所へ戻り今回の依頼の経過をパソコンに打ち込んでいた。
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