#03 交錯

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勇二と美紗はドニントンでの晩餐会を終えて、今は西京大学の音楽室へ戻って来ていた。 来た時は朝であったが、もう辺りは闇に包まれていて音楽室には碧も二条の姿も無かった。 勇二は携帯を取り出し早速碧に電話を掛けた。 「もしもし、葛城ですけど」 「な・・・なんでも屋さん、無事だったんですね? あの後・・・音楽室戻ったら刑事さんしか居なくて」 「ええ、変な場所に飛ばされちゃって、でも加藤美紗さんは無事に見つかりました」 「本当ですか!!」 「ええ、今美紗さんと代わります」 そう言って勇二は美紗に電話を渡した。 「碧~~何か心配かけちゃったみたいでゴメンね~ 私、全然ッ大丈夫だよ~ 凄いトコ行っててご馳走食べてさぁ~」 「ご・ご馳走? と碧が驚く様子が勇二には目に浮かぶ様であった。 「そ~なんよ~もう超美味し・・・」 と話す美紗の会話を遮り 「とにかく美紗さんは無事ですので、今日は美紗さんの自宅へ送ります。 明日、また事務所へ来て頂けますか?」 と勇二は碧に尋ねた。 「解りました。 美紗に後で家に来るって伝えてて貰えますか?」 「はい、では明日お待ちしてます」 と碧に告げ、通話を切った。 美紗は勇二を肘で軽く小突いて 「減点4・・・だけど、ありがとうございました。 ただ・・・もう少し笑顔が欲しかったなぁ~」 とベッと舌を出して笑った。 「・・・では、帰りましょうか」 と勇二は固い笑みを浮かべた。 「固い固い~本当見た感じイイし素材として最高なのに~勿体無いすよ」 「お・俺が・・・素材?」 と思わず勇二の声がひっくり返った。 美紗はニヤリとして 「フフフ、女子に耐性無いんすね?葛城さん」 と色々絡んで来る美紗に辟易しながら二人は音楽室を出て、美紗の家へと向かった。 依頼は果たしたがこのやるせなさは何だろう?と勇二は思っていた。 勇二は美紗をバイクの後ろに乗せ自宅へ送り、今は事務所へ戻り今回の依頼の経過をパソコンに打ち込んでいた。
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