#03 交錯

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「うん・・・それはそうだね」 と碧は頷いた。 「てかさぁ~葛城さんて中々格好イイよね。 ちょっと難いのが玉に傷だけどさぁ~」 と美紗はお茶を飲みながら碧に問い掛けた。 「うん、何かクールそうで私を変な化け物から守ってくれて、居なくなっちゃったから心配したけどね」 「あ~何かお城で葛城サン化け物がどうたらミイちゃん達に話してたなぁ~」 「お城?ミイちゃん?」 と碧は不思議な表情で美紗に尋ねた。 「えっとね・・・」 と音戦士と変化した勇二に揺り起こされて目覚めた時からの経緯を美紗は碧に話し始めた。 勇二は自宅へ戻り寛いでいた。 座椅子に座りテレビをボサッと見ながら、改めて今回の依頼によって予想外の展開について反芻していた。 ドニントンの世界の人々。 音戦士。 ギルダートの狙い。 そして樋口から受け継いだネックレス。 託されたメタリング。 全てが繋がる様で、バラバラで考えても今は意味が無い様に思えてきたので、勇二は一昨日買った音楽雑誌を手に取りパラパラと眺め始めた。 メタルバンドの神と呼ばれているhell princeが5年振りに新しいアルバムを出すという事になり、メンバーのインタビューが掲載されていた。 ヴォーカルで5オクターブ以上の声が出ると言われている、ハル・ロブファードのインタビューに書かれてた 「時代性に合わせながらも私達らしいアルバムに仕上がった」 と言うコメントを見ると、新作が気になってしょうがなかった。 と思ってると携帯が鳴った。 携帯の小窓には田原碧の文字が表示されていた。 勇二は多少驚きながら電話に出た。
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