#03 交錯

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「もしもし・・・」 と第一声を発する勇二のテンションは低かった。 「葛城君?また仕事の依頼?最近忙しいじゃん」 「いや・・・そういう訳じゃ無いんだが、明日昼前って時間空いてるか?」 「ゴメン・・・明日の夕方迄は無理だよ」 と森川は勇二に申し訳無さげに答えた。 「そうか・・・忙しいんだな?仕事か?」 「いや全然!!! 今ケーブルテレビでヘルキュアの全話一挙放送やってて、明日の夕方迄かかるから~無理なんだよね」 と森川は明朗快活に答えた。 「おまっ・・・ヘルキュアって日曜の朝やってる女の漫画か・・・?」 と日曜日の朝にゴスロリパンキッシュな衣装に身を包んだアニメをうっすらと勇二は思い浮かべて、愕然とした。 「そそ、今はヘルキュアチェリーだけどさぁー、やっぱり僕は前作の・・・」 とヘルキュアの説明を始め出す森川の声を勇二は遮る様に 「説明はいいから。 明日、現役女子大生二人と飯食いだがお前どうする? 中々美人だったが・・・」 と清純系な碧と派手でテンション高いが良く見れば美人な美紗を思い浮かべながら、森川に尋ねた。 「本当に? じゃヘルキュアは録画するから全然オッケーだよ」 と森川はテンション上がった様だった。 「・・・お前、仕事の依頼だったらどうしてた?」 「え?そんなん断るに決まってるよ」 と当たり前の様に答える森川に勇二は愕然としながらも、森川が明日来ないと話にならないので 「・・・なら、明日11時位に事務所に来てくれ」 「解った~二次会はメイドカフェでいいよね?」 「・・・いや・・・パス。 とにかく明日頼むな」 と言って勇二は通話を切った。 これで明日の対策はバッチリだと思えた。 森川はオタクではあるが、陽性で見た目はぽっちゃりだが愛嬌があるし、何より良く喋るから、明日は森川に場の流れを任せられると思ったら、少しだけ気が楽になった。 「後はこれだけか・・・」 と勇二はロクサーヌから城戸一樹へと託されたメタリングをマジマジと見つめていた。
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