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翌朝、勇二は事務所で二条を待っていた。
碧達が来るのはまだ後なので二条とバッティングする事は無かった。
程なく事務所のドアがノックされ、二条が
「よぉ~外は熱いな~」
と声を出しながら事務所へ入って来た。
中肉中背で髪を短く刈った二条はハンカチで軽く汗を拭いながら、ソファーに腰掛けた。
「麦茶入れてきましょうか?」
と勇二は二条に問い掛けたが
「いや・・・あんまり時間無いからざっくりと本題に入ろうか・・・」
と二条が二年前に経験した事と勇二が昨日ドニントンで聞いた事を話し始めた。
碧は目覚めてから、軽く朝食を採ってからシャワーを浴び、今は食事会に向けメイクをしている所だった。
昨夜、美紗に押し切られる様な感じで今日勇二を食事会に誘った訳だが、鏡に映るいつもより入念なメイクをする自分を見れば、どこかで仕事以外で勇二と会ってみたいという気持ちが働いたのでは無いか?
と思い始めると頬が火照る感じがしてきた。
昨日、音楽室で怪物が現れた時に自己を盾にして自分を逃がしてくれた勇二。
音楽サークルの男達は皆一様に碧に優しかったが、勇二の様な剛毅でいてクールな感じは碧にとっては初めてであった。
出会って三日。
なのに恋しちゃってる?
と思うと尚更身体中が火照る様な感じがしてくるのであった。
勇二と二条はお互いの情報を交換して、今は二年前に伝説の音戦士となった城戸一樹との経緯を二条から聞いていた。
「しかし・・・また城戸さんを巻き込む訳にはいかないな」
「俺もそのつもりなんですが、その二年前の戦いと質が違うみたいですからね・・・」
と勇二は溜め息を吐いた。
「そうだな、お前の話を聞く限りだと・・・どっから手付ければいいか解らない感じはあるが、城戸さんにはそのメタリングって指輪は渡しといたがいいかもな。
だが、あくまで城戸さんに頼らず俺とお前で止める方向で行こう」
と二条は自分の膝を軽く叩いて勇二に告げた。
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