17人が本棚に入れています
本棚に追加
/123ページ
碧は笑顔で
「何か葛城さんの、そういう所、私は好きだよ」
と勇二を見た。
「え?・・・てか美紗さんにも音の世界でからかわれて、しかも減点4と宣告されちゃって」
と勇二の信条が崩壊した事に今更ながらに気付いて、軽く肩を落とした。
「アハハ、美紗はズバッと言うからね。
てか、私より異性慣れしてない人実際に見るのは初めてかもだよ」
「・・・碧さん迄、俺からかうんだね」
「違うよ~お仕事の時の葛城さんは近寄り難いけど、今普通にお話出来るからいいと思うよ」
と語る碧の緊張感が溶けたからいいのだろうと、勇二は思った。
多少のやるせなさはあったが、まぁ耐性訓練となるならいいだろうと思い始めていた。
そうこうする内に、目指す小洒落たレストランに到着した。
勇二はこういう場所は数える程しか来た事無いので、軽く緊張する自分を奮い立たせていた。
内心、夜に時間設定して小熊にしとけば良かったと思ったが、魚の臭いでは無く店内に軽く香るガーリックの臭いが新鮮に思えていた。
木製のドアを開け、四人は店内に入って行った。
「いらっしゃいませ、四名様でいらっしゃいますか?」
と尋ねる案内係に四人は頷き、案内係に誘導されるままに窓際のテーブルに案内されて、四人は椅子に腰掛けた。
「ご注文お決まりになりましたらお呼び下さい」
と案内係は四人の前にメニューを置いて立ち去った。
「ここの茄子と挽き肉のパスタって絶品なんだよね~」
と美紗は森川に話した。
「ネットの板でも話題に出てたんで、実は僕も興味あったんだよね」
と森川は今話題に出てる茄子と挽き肉のパスタを見つめながら答えた。
「うーん、私何にしようかな~西京地鳥のチキンソテーのセットも捨て難いし、平目の香草包み焼きも捨て難いし・・・」
と迷う碧に
「相変わらずだね~碧は。
私は茄子と挽き肉のパスタに決めたよ」
「相変わらず好きだね~」
「うん、毎日でもいい位だよ。
てか、森チャンと葛城さんは決まった~?」
「じゃあ僕は美紗タンと同じ物を頼むよ~」
と森川は笑顔で答えた。
「・・・森チャンと美紗タンって」
と勇二は驚いて二人を見た。
「あ!ゴメンね、葛城さんじゃ無くて葛チャンって呼ぶから~」
「いや・・・パスで」
とメニューに再度視線を戻した勇二に
「減点5」
と五本の指を開いて勇二に告げた。
碧はそのやり取りを笑顔で眺めながら
「葛城さんは何にするか決まった?」
と勇二に問い掛けてきた。
最初のコメントを投稿しよう!