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「何か混み入った感じですね。
良ければ今から一樹に電話しましょうか?」
と男は勇二に尋ねた。
「いえ・・・お仕事中ですし、また出直します」
と勇二は男に軽く会釈して自動ドアに向かって歩いて行った。
「ちょっと待った」
という男の声で振り向くと「帰って来ましたよ」
と男が自動ドアの方を指差していたので、振り返ると一台のトラックが駐車場に入って来た。
「呼んで来ますから、ちょっと待っててくれますか?」
と男は今入ってきたトラックの方へ向かった。
勇二はジーンズのポケットに入れていたメタリングを取り出し、手の中に握り一樹を待った。
「ふぅ~熱ちぃ」
と首に巻いたタオルで汗を拭きながら、男が入って来た。
どうやらこの男が城戸一樹の様であった。
身長は170センチ位で、細身で髪は軽く茶色。
勇二が想像していた一樹はもっとゴツイイメージだったのだが、伝説の英雄が優男な感じだったのは驚きだった。
「何か俺に用事とからしいですね?」
と笑顔で一樹は勇二に尋ねてきた。
「ちょっとだけ外に出れますか?」
と勇二は尋ねた。
「ええ、じゃ行きましょうか」
と二人連れ立って店外へ出た。
外に据え付けてある灰皿の前へ行き、一樹はタバコに火を点けた。
「で、用事とは?」
「まずは、これを託されたので城戸さんに渡しときます」
と一樹にメタリングを手渡した。
「これは・・・メタリング」
とまじまじと手渡されたメタリングを眺めながら一樹は一息ついて
「ロクサーヌからですか?」
「ええ・・・ドニントンで彼女から貴方にへと託されました。
彼女はいざという時の貴方の力になると言って」
「あの時、滅音戦士とガンディラスは倒したのに・・・
また、これが必要となる事が起きた?」
と一樹は勇二の目を見ながら尋ねた。
「ええ・・・二年前、城戸さんが戦った時と事態は違う感じみたいですが・・・」
と勇二は今迄の経緯を一樹に説明を始めた。
【その夜】
一樹は車で自宅に戻りながら、勇二が説明した事態を反芻していた。
二年前の戦いは憑依を起点として、しかも滅音戦士時代のリーベンヌに憑依された神村を止めれば何とかなるという感じであったが、今回はギルダートとかいう敵の目的も不明な上、新たな造魔とかいう敵はこちらの世界での活動障害が無いらしいので、二年前と違い中々厄介な戦いになるだろうなと思えた。
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