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「何かステージに立つより緊張したけど、おかげで何か楽になれたよ。
ありがとう葛城さん」
「そ・そりゃ良かった。
てか頑張ってね、応援してるから」
「うん」
と碧は答えて、二人は握っていた手を離した。
「碧~ッ、そろそろ控室に行こうか?」
と美紗が碧を呼びに来た。
「葛城さん、今日はありがとね。
今までの減点はチャラにしとくからぁ」
と美紗は笑顔で勇二に告げた。
「ハハハ、ありがとう。
美紗さんも頑張ってね」
「うん、じゃあ後で」
と告げ美紗と碧は会場へと向かった。
勇二はその姿を見つめながら
「二人共、夢が叶います様に」
と勇二は胸の中で祈りを込めた。
西京霊園は霊園の裏側で蝉が喧しく鳴き喚き、夏真っ盛りという感じであった。
二条は霊園の駐車場に作った詰め所で団扇をパタパタと仰ぎながら、効かないクーラーに悪態をついていた。
「あぢぃ~」
と今、SATの面々が墓地の方に定時巡回に出てるから誰に遠慮する事も無く、だらける事が出来たのであった。
いつ増魔が現れるかも解らない状況でも、SATの面々はだれる事無く、任務を黙々と遂行する姿は流石だと思えた。
二年前に怪物と共に闘った三人がメンバーに加わってるお蔭で、眉唾物の事案にも文句一つ無く皆が動いてくれてるのだろうと思えた。
急遽設置した定点カメラの映像は昼間と言う事もあり気味悪さが薄れているが、夜番を行う高浦によれば、一人この場所で待機して映像を眺めている時が一番怖いという台詞も解らないでも無かった。
プレハブ小屋のドアが開き、巡回に出ていたSATの面々が戻って来た。
「お疲れ様でした」
と二条は椅子から立ち上がり皆に労いの言葉を掛けた。
「特に異常はありませんでした」
と二年前前より若干恰幅が増した中川が答えた。
「そうですか~まぁ、このまま何も起こらないのが一番何でしょうけどね。
退屈でしょうけど」
「いえ、我々も何も起こらずに、ちょっとした息抜きみたいな感じが続けば最高ですね」
と中川は二条に笑いながら答えた。
他の隊員達も、中川の台詞に軽く笑っていた。
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