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「撃て~ッ」
と二条が叫ぶと同時にSATの一斉射撃が始まった。
軍用マシンガンの射線上の墓石は粉々に砕かれて行った。
造魔達は打ち寄せる弾丸の雨を盾で防ぎつつ、二条達の元へじりじりと接近し、数体の造魔は信じられ無い跳躍力で射線から脱して、一体の造魔が一人のSAT隊員の前へ現れて、手にした剣で横に切り付けた。
「うわぁぁ」
と地面へしゃがみ込み何とかSAT隊員は剣撃を避けた。
「伏せてろ、島」
と中川は絶叫し他の隊員と共に、島と呼ばれた隊員を狙う造魔に向け火線を集中させた。
無数の弾丸は造魔の鎧を破壊し、造魔は体液を撒き散らして、その姿を消滅させた。
島はまた銃を広い、押し寄せる造魔達と距離を空けながら射撃を再開した。
勇二が霊園に着いて、まず耳に入ったのは激しい銃撃の音であった。
風に乗って火薬の臭いが鼻につき、二条達の置かれてる状況の困難さを物語っている様であった。
尻ポケットから携帯を取り出し一樹宛てに高速でメールを送信して、ネックレスに向かい「変身」と叫び、音戦士となり、墓地の方へと急いだ。
墓地へ近付く程に銃撃は激しさを増し、二条達や造魔達の姿も見えてきた。
二条達は一塊になり、造魔達に銃撃しながらも後退していて状況は不利な様子であった。
勇二は走りながら両手に銃を発現させた。
そして、手近に見えた造魔を狙い撃った。
こちらに気付いて無かった巨大なハンマーを持った、造魔は緑の光に頭を撃ち抜かれて、その姿を消滅させた。
「葛城? 助かったぞ」
と走り来る勇二に二条は感謝の声を掛けた。
「何とか間に合った・・・
二条さん達は安全な場所へ下がって下さい」
「解った、俺達は援護に回る。
ただし無理はするなよ」
といい残し、二条達は造魔達と距離を開けるべく、勇二の側を走り去って行った。
「ほう、その姿・・・音戦士か」
と鎧に身を固めた一本角の造魔が勇二の方に振り向いた。
他の10体の造魔も勇二の方を振り返り、唸り声を上げた。
「へーってめぇはまともに喋れんだな?
なら、何が狙いか俺に話してみろ?
毎回毎回こんな寂しい所に出やがって」
「貴様ごときに我が父ギルダートの崇高な目的等理解出来る訳無い」
「ああ・・・あのちっこいオッサンか。
崇高な感じは全ッ然しなかったがな」
と一本角の造魔をおちょくりながら勇二は答えた。
「おのれ、我が父を愚弄するとは死ぬがよい」
と一本角と他の造魔は勇二に各々の武器を振りかざして突進して来た。
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