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西京パブリックホールでは、出場する全てのバンドが演奏を終えて、今はコンテストの結果発表の最中であった。
司会が次々と入賞したバンド名を読み上げていた。
碧も美紗も目を閉じて、結果発表を待っていた。
「エントリーNO,115 swe-two」
と自分達の名前が呼ばれた。
「やったね」
「うん」
と碧と美紗は抱き合って喜んだ。
その時、碧の頭上に空間転移の穴が広がり、造魔が現れて短く極細の針を碧の首筋に打ち込んで、また造魔は姿を消した。
喜びに湧く碧は首筋に打ち込まれた針に気付く事も無く、痛みも無かった。
そして会場の誰も一瞬で消えた造魔に気付く事は無かった。
一方、西京霊園から空間転移し消えた一本角の造魔はギルダートの元へ戻っていた。
「父の狙い通りに、青い音戦士は墓地へ現れました」
と一本角の造魔はギルダートに霊園での報告を行っていた。
「ふっ、奴はリッガーと共にドニントン迄やって来たからな。
アンスラクスを骨の回収に霊園に向かわせたら、やはり現れたし、今回も然りだ。
奴らはあの場所に何かあると思ったようだが、あそこは人骨以外には意味が無い。
まんまと奴らは陽動に引っ掛かった訳だな」
とギルダートは白いあごひげを撫でながら語った。
「ですが、私を残して、他は全滅でした・・・新たに現れた赤い音戦士は一瞬で我々の部隊を壊滅に追い込みました」
「我が息子ダムドよ、お前は誕生して間もないから解らぬだろうが、その赤い音戦士はドニントンの伝説の戦士で、今のお前では万に一つも勝つ見込みが無い。
無事に戻れただけでも、良しと考えておけ」
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