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「解りました。
操魂針を依り代に打ち込むのが今回の目的でしたから、後はデスティアラ【死の冠】を見つけるだけですね」
「そういう事だ、この前取り逃がした人間にも操魂針は打ち込んでみたが拒否反応で眠りに就いたが、今度の人間はより純粋で、音戦士にもなれる位の資質もある。
デスティアラとの反応も良好と思われる。
ダムドよ、お前も強化してやろう。
あの赤い音戦士と渡り合える位に」
とギルダートは相変わらずあごひげを触りながら、ダムドと呼ばれた一本角の造魔に語りかけた。
「ありがとうございます、我が父ギルダートよ。
しかし、ドニントンと人間界に分割されているデスティアラの回収はどうしますか?」
「心配は要らぬ。
お前の強化の実験の為に、生み出していた新たなる息子を人間界に行かせるし、ドニントンの方は手駒数体で回収する。
封印場所の特定はもうすぐで確定する」
「解りました。
私の強化も楽しみです」
「期待しておけ」
とギルダートとダムドは、拠点にしている地下宮殿の中で、今後の作戦について話していたのであった。
この場所は、ドニントンの外れにあり目立た無い所であったのでドニントンの音戦士やリーベンヌ達にも見つけられにくい場所であった。
勇二は霊園での戦いの後、詰め所で、二条や一樹達と今後の事について話し合いを行っていた。
幸い負傷者も無く、無事造魔を撃退出来たが、一本角の造魔が消える前に言っていた。
「目的は達した」
という言葉が引っ掛かり、その目的とやらを皆で推測するが、何も答は出ないままであった。
一樹は仕事途中で抜け出して来たらしく
「すいません・・・現状だと答出ないみたいだから、ちと仕事に戻っていいですか?」
とバツ悪そうに二条に尋ねていた。
「ええ、本当に忙しい所、申し訳ありませんでした。
おかげでまた、助かりましたよ」
と二条は一樹に頭を下げた。
「また何か動きがあったら教えて下さい。
俺も仕事終わった後に、ドニントンの前女王のロクサーヌと色々情報を交換してみます」
と言って、勇二の肩を軽く叩き
「ゴメン・・・後を頼むね」
と勇二に告げて、一樹は詰め所から出て行った。
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