#05 胎動

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「まぁ・・・現時点ではここの警備人数を増やす以外に打つ手無しか」 と二条は溜息を漏らした。「ええ、私もちょっと本部に人員の増員要請を行います」 と中川も事務所を出ていった。 「葛城・・・今日はお前に借りが出来たな。 ちゃんと形にして返すから、今日は戻って休んでくれ」 「城戸さんこないとヤバかったですけどね。 報酬は有り難く受けますから、二条さんも何かあったら遠慮無く連絡して下さい。 今日は俺も帰ります」 と勇二は二条に軽く笑って詰め所を出て、バイクを停めている駐車場へと向かった。 「ありがとうな」 と二条は勇二の背中に頭を下げた。 とその時、二条の携帯が鳴ったので二条は電話に出た。 「はい」 「二条か、ちょっと署に戻れるか?」 と尋ねる声は署長であった。 「ええ、大丈夫ですが・・・」 と二条は署長の話を黙って聞いていた。 「解りました、すぐ戻ります」 と二条は通話を終わらせ、詰め所に残ったSAT隊員に署に戻る旨を告げ、二条は署に急いだ。 【その夜:西京海浜公園】 勇二はオレンジの街灯が照らす夜の公園のベンチに座り、暗い海を眺めていた。 数ヵ所あるベンチにはカップル達が座り、海際では海面へ釣り糸を垂らして光るうきを眺めてる釣り人の姿が見えた。 「平和だな」 と昼過ぎの霊園の戦いが嘘の様に思えた。 潮の臭いが辺りに漂うのもそう思わせる要因とも思えた。 「葛城さーん」 と何と無く物思いに耽っていた勇二を呼ぶ声で、勇二は現実に引き戻された。 「碧さん、早かったね」 と勇二はベンチから立ち上がり小走りでこっちに向かってくる碧に手を挙げた。 「ゴメン、待った?」 「いや、待って無いよ。 てか打ち上げの二次会とかは大丈夫なの?」 碧は軽く笑いながら 「だって葛城さん、カラオケだったら来ないでしょ?」 「う・そこ突っ込むんだ」 と勇二は軽く慌てた。
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