17人が本棚に入れています
本棚に追加
ドニントンでミイフーヌがギルダートの野望を阻止するべく動き出した頃、西京の小高い山の上の頂上では異変が起こっていた。
平日なので人気の無い、西京を見渡せる展望台に、空間を裂いて、機械的な馬に乗った造魔が突如として現れた。
「ほう・・・あそこの教会にデスティアラが隠されているのか?」
と白銀の物々しい鎧に身を包んだ造魔は対面の山の中腹に見える古びた教会を見据えて呟いた。
「転移の位置座標が多少逸れたが、まぁいいだろう。
では行くか」
と馬上の造魔は展望台を駆け降り、古びた教会へ向け勢い良く駆け出した。
そのスピードは馬の速度では無く、バイクや車の高速運転の様だった。
ロクサーヌは二年振りに、西京を訪れていた。
人間界では実態化出来ない為に、勇二や一樹を探して一刻も速くギルダートの狙いを伝えるべく急いでいた。
リーベンヌが人間界へ行くとロクサーヌに告げたが、やはり二年前にリーベンヌがこの場所を訪れ、神村と言う男に滅音戦士の力を与え過ぎていたので、リーベンヌが人間界に滞在出来る時間は限られていたので、まだ、時間的に余裕のあるロクサーヌが訪れる事になった。
「この近くだと思うんだけど」
と二年前にロクサーヌが初めて人間に憑依した飲み屋街を通過していると、一樹の気配を感じた。
ロクサーヌはその元へと急いだ。
「ふぅ・・・」
と一樹はとある居酒屋にビールを配達し、トラックに向かっていると、懐かしい強風に包まれた。
閑散とした真昼の飲み屋街を通り過ぎる人々は何事も無い様に歩いていて、自分だけが感じる風はロクサーヌのサインであった。
一樹は人気無いビルの影へ行き、音戦士へと変身した。
「どうした?何か動きがあったのか?」
と音戦士スクリームに変化してないと見えない、ロクサーヌに尋ねた。
「久しぶり、と挨拶は後にして今回の件の敵の狙いが見えたの」
と二年前と変わり無い金髪のロクサーヌは答えた。
「そうか・・・なら教えてくれ」
と一樹はロクサーヌの説明を聞きはじめた。
最初のコメントを投稿しよう!