#05 胎動

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ロクサーヌの説明を聞き終えた一樹は溜息を吐いた。 「そのアマルって奴の復活がギルダートの目的なんだな?」 「ええ、今女王ミイフーヌがアマルについて調べているわ。 原初の神とされてるけど、敵か味方か解らないし」 「その為の依り代を葛城に奪われた・・・ だが、こないだ現れた造魔は目的を果たしたと言ったそうだ。 そして、人間界にあるというもう半分のデスティアラ・・・ 恐らくこの街の何処かにあるんだろうが、場所は解るか?」 と一樹はロクサーヌに尋ねた。 「私達は場所の特定は出来ないけど、ドニントンの伝承があるわ」 「伝承?」 「海を見下ろす険阻な場所にて水の音を聞き女神の片割れは眠る・・・とね。 カズキに思い当たる場所はある?」 「う~ん・・・海を見下ろす場所は、多分街の回りを囲む山だろうが、 水の音? その伝承の感じだと、山の近くに絶えず水が流れる場所だよな~」 と一樹は考え込んだ。 「水の流れ・・・滝・・・湖! 待てよ・・・」 と一樹は何か閃いた様だった。 「何か解った?」 「ああ、嫁さんと昔、良く夜景見に行ってたんだが、そっから見える景色に、山の中腹に物凄く古い教会があって、その頂上が公園になってて、湖でも無いのに令隠湖公園ってついてて、昔は湖だったのかも・・・ 西京でその伝承に合う所はそこだけだ・・・」 ロクサーヌは頷きながら 「近い内にそこに造魔が現れるわ。 確実に・・・ そして、この前ギルダートに拉致された女の子にも危険が迫るかも」 「解った、すぐ対処する。 デスティアラを奪われなきゃいいんだな?」 「ええ、奴らの手に渡る前に破壊してくれるかしら?」 「やってみる、デスティアラが無けれゃ依り代も意味を無くすしな。 ロクサーヌもドニントンに戻って造魔を送り込んでくるギルダートを止めてくれ」 「解った、最善を尽くすわ。 カズキも気をつけてね」 「ああ」 とお互いに確認しあって、ロクサーヌはドニントンへ戻り、一樹は勇二や二条に連絡を取った。 だが二人共、古びた教会へ近づきつつある造魔には気付いていなかった。
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