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ロクサーヌの説明を聞き終えた一樹は溜息を吐いた。
「そのアマルって奴の復活がギルダートの目的なんだな?」
「ええ、今女王ミイフーヌがアマルについて調べているわ。
原初の神とされてるけど、敵か味方か解らないし」
「その為の依り代を葛城に奪われた・・・
だが、こないだ現れた造魔は目的を果たしたと言ったそうだ。
そして、人間界にあるというもう半分のデスティアラ・・・
恐らくこの街の何処かにあるんだろうが、場所は解るか?」
と一樹はロクサーヌに尋ねた。
「私達は場所の特定は出来ないけど、ドニントンの伝承があるわ」
「伝承?」
「海を見下ろす険阻な場所にて水の音を聞き女神の片割れは眠る・・・とね。
カズキに思い当たる場所はある?」
「う~ん・・・海を見下ろす場所は、多分街の回りを囲む山だろうが、
水の音?
その伝承の感じだと、山の近くに絶えず水が流れる場所だよな~」
と一樹は考え込んだ。
「水の流れ・・・滝・・・湖!
待てよ・・・」
と一樹は何か閃いた様だった。
「何か解った?」
「ああ、嫁さんと昔、良く夜景見に行ってたんだが、そっから見える景色に、山の中腹に物凄く古い教会があって、その頂上が公園になってて、湖でも無いのに令隠湖公園ってついてて、昔は湖だったのかも・・・
西京でその伝承に合う所はそこだけだ・・・」
ロクサーヌは頷きながら
「近い内にそこに造魔が現れるわ。
確実に・・・
そして、この前ギルダートに拉致された女の子にも危険が迫るかも」
「解った、すぐ対処する。
デスティアラを奪われなきゃいいんだな?」
「ええ、奴らの手に渡る前に破壊してくれるかしら?」
「やってみる、デスティアラが無けれゃ依り代も意味を無くすしな。
ロクサーヌもドニントンに戻って造魔を送り込んでくるギルダートを止めてくれ」
「解った、最善を尽くすわ。
カズキも気をつけてね」
「ああ」
とお互いに確認しあって、ロクサーヌはドニントンへ戻り、一樹は勇二や二条に連絡を取った。
だが二人共、古びた教会へ近づきつつある造魔には気付いていなかった。
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