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「渡。あれを見てみろ」
佐々木は窓の外を指差した。
ちなみに一年生の教室は三階にある。
二年生は二階、三年生は一階と、下級生ほど上り下りがキツいのだ。
……どうでもいいか。
佐々木が指差したのは校庭のすみにある、大きな桜の木だ。
「あの木には伝説があってな。あの木の下でカップルになった男女は幸せになれるんだそうだ」
「へぇ。そんな伝説がー」
アホくさ。
妙に決め顔なのが気持ち悪い。
だいたいカップルになった時点で男女はたいてい幸せなんだよ。
「どうせ彼女にするならとびきり可愛い子がいいからな。渡よ、油断してると相川さんはすぐに他の男に取られるぞ」
話すだけ話して佐々木は自分の席に帰っていった。
何を言ってるのかよくわからない奴だ。いったいどの顔をして女の子を選ぼうとなんてしてやがる。
それになぜわざわざ俺に忠告していったんだ。佐々木よ。
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