第1話「幼なじみは美少女」

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「渡。あれを見てみろ」 佐々木は窓の外を指差した。 ちなみに一年生の教室は三階にある。 二年生は二階、三年生は一階と、下級生ほど上り下りがキツいのだ。 ……どうでもいいか。 佐々木が指差したのは校庭のすみにある、大きな桜の木だ。 「あの木には伝説があってな。あの木の下でカップルになった男女は幸せになれるんだそうだ」 「へぇ。そんな伝説がー」 アホくさ。 妙に決め顔なのが気持ち悪い。 だいたいカップルになった時点で男女はたいてい幸せなんだよ。 「どうせ彼女にするならとびきり可愛い子がいいからな。渡よ、油断してると相川さんはすぐに他の男に取られるぞ」 話すだけ話して佐々木は自分の席に帰っていった。 何を言ってるのかよくわからない奴だ。いったいどの顔をして女の子を選ぼうとなんてしてやがる。 それになぜわざわざ俺に忠告していったんだ。佐々木よ。
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