第2話「学校の警備は手薄」

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家を出るときに母親に呼び止められたが「学校に宿題を忘れた」と言ったら「あらそう」で終わった。 なんて単純なんだろう。 そもそもあんたの息子は宿題をするほど真面目じゃないんだぞ。 聞けば美空の両親は有給をとって旅行に行ったんだとか。 まったくなんて都合のいい日だ。 「あれ? 学校開いてない」 校門の前で美空が間抜けなことを言い出した。 「いやいや、普通は開いてないだろ」 「え、じゃあどうしよう」 美空が驚いた様子で言う。 真顔だ。 可愛いけれど。 「ええと、美空さん。一応聞くけど、夜の学校に勝手に入っちゃいけないって知ってた?」 「え、うそ!」 はい即答。 真顔です。 可愛いけれど。 そうかそうだよね。 それを知ってたら真面目な美空が来るわけないものね。 本当に、なんて都合がいい日だろう。 「まあ残念だが、やっぱり一緒に怒られるしかないな」 「ええーなによそれぇ!」 「別に忍び込んでもいいけれど、見つかったら結局怒られるぞ」 まあ今日は一緒に歩けたし、一緒に怒られるってのも俺としてはむしろ歓迎したい。 「う……」 あれ? 美空が……泣きそうだ。
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