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家を出るときに母親に呼び止められたが「学校に宿題を忘れた」と言ったら「あらそう」で終わった。
なんて単純なんだろう。
そもそもあんたの息子は宿題をするほど真面目じゃないんだぞ。
聞けば美空の両親は有給をとって旅行に行ったんだとか。
まったくなんて都合のいい日だ。
「あれ? 学校開いてない」
校門の前で美空が間抜けなことを言い出した。
「いやいや、普通は開いてないだろ」
「え、じゃあどうしよう」
美空が驚いた様子で言う。
真顔だ。
可愛いけれど。
「ええと、美空さん。一応聞くけど、夜の学校に勝手に入っちゃいけないって知ってた?」
「え、うそ!」
はい即答。
真顔です。
可愛いけれど。
そうかそうだよね。
それを知ってたら真面目な美空が来るわけないものね。
本当に、なんて都合がいい日だろう。
「まあ残念だが、やっぱり一緒に怒られるしかないな」
「ええーなによそれぇ!」
「別に忍び込んでもいいけれど、見つかったら結局怒られるぞ」
まあ今日は一緒に歩けたし、一緒に怒られるってのも俺としてはむしろ歓迎したい。
「う……」
あれ?
美空が……泣きそうだ。
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