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ともかく、本物は早急に処理してしまわないとならない。
それにしても、逢坂君の爆弾処理能力がまた上がっていた。
上限がないのか?
いやー、いつもいつも、爆弾の制作中に逢坂君は急に現れるんだ。
今日みたいに誰も居ない時間になってから作業をしていたのに。
今回みたいに、ちょっと一週間用事を頼んでおけば、今までの失敗は無かったのだろう。
海外に行って貰っていたんだから、邪魔できなくて当たり前か。
56回もの実験がもったいない。
いや、それでも仕事を早めに終わらせて、爆弾が完成した後だったとしても、大学に帰ってきた所は流石と言うべきか。
など、どうでもいいことを考えつつ、手は着実に爆弾を処理していく。
「うしっ、後は、これを取り出してしまうだけだ。しっかし、綺麗な色をしているな。これだけで四国が消えるとは、とてもじゃないが信じられない」
爆弾の中に入っていた“モノ”。
それは、美しく水色に輝いていた。
何の原理かはまだ解明されていないが、中で金粉が舞っている。
楕円形の平らなガラスの中に入っており、青空に数多もの星々が浮かんでいるような錯覚を、見る者に与える。
幻想的な世界が一つの小さな粒に詰め込まれていた。
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