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「………はっ、自分は何をしていたんだ。…今度から気をつけよう」
しばらく呆けていたことに気付き、誰もいないことを忘れ、照れる自分。
なかなかにシュールな光景だ。
「とにかく、片付けないと」
そう思って、“モノ”をポケットに入れておく。
正確には、“入れようとした”だ。
なぜなら…
グラグラグラグラ
「なっっ、地震かっ」
突然の地震によって“モノ”が手から滑り落ちてしまったから。
自分の手から離れていく“モノ”に近付くことは許されず、揺れに耐えられずに膝をついてしまう。
「なんだっ、こっ、れは!?嫌がらせかっ?それとも誰かの陰謀なのか?」
混乱して、ついメチャクチャなことを口走る自分。
端から見たら滑稽極まりない。
“モノ”は強化ガラスの中に入っている。
それも特上の。
“モノ”が空気に触れた瞬間に爆発する仕組みになっているが、落ちた程度で爆発などしない。
だから、だいじょう……
「…ぶ、じゃない!」
古くなっていた蛍光灯が地震の振動によって落ちてくる。
“モノ”の真上に。
あれだけ勢いがあれば、流石の強化ガラスもパリンだ。
みるみる顔が青くなるのがわかった。
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