「日常」という名の「非日常」

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「やめてくれっ、それだけは!死んでしまう!跡形もなく!四国が消える威力だぞ。首都がまるまる、周りの県を巻き込んで無くなってしまうんだぞ!いいのか、それでいいのかキミィーー!!」 もはや何を言っているのかさっぱりだ。 それとも彼は、見えない神にでもキレているのか。 大阪のオバチャンの顔も真っ青のマシンガントークは、まだまだ続く。 「今、自分が死んだら、哀しむ人が、いち、にー、さん、しー、……少なっ!…と、兎に角、自分が死んだら社会の損失なんだからな!こんな研究が出来るのは自分ぐらいだぞ!後悔をしても後の祭りだからなっ!!親父、おふくろ、こんな自分を育ててくれてありがとう。けど、未練は一杯だーー!!絶対化けて出てきてやる!まだ買ったばかりの本も読んでないし……」 彼の未練が次々と挙げられていく。 だが、彼の止まることを知らない口も、とうとう終わりを告げる。 「ほ、本当に死にたくない!神様っ!馬鹿だなんて言ってごめんなさい!だからこの状態をなんとかしてくれーーー!!!」 スローモーションで動いていた時も過ぎ、蛍光灯が寸分違わずに落ちきった。 彼が伸ばしていた手は届かずに、ただただ虚空を掴む。 ドンッ パリンッ 彼の願いと“モノ”が虚しくも砕け散った。  
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