「日常」という名の「非日常」

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チュンチュン 「出来た。遂に、出来たんだ」 「先生」 「嗚呼、この日をどれだけ待ち望んでいたことか」 「先生…」 「雀達も、自分を祝福してくれているようだ。ありがとう。本当に、今までの努力がようやく実った。悔いはない。寧ろ充実感に満たされている」 きょうの青空は高い。どこまでも続く、自分が吸い込まれてしまいそうなほど。 自分の今の心持ちを体現しているようだ。 こんな日に、実験が初めて成功するなんて。 理論は完璧だった。 後は実験を成功させるだけ。 其れだけに、まさに3年もの月日を必要とした。 この計画の成功を阻む“壁”は想像以上に高く、乗り越えるために血の滲むような努力をした。 初めてだ。 何かにこれだけ夢中になり、成功のためだけにひたむきに走ったのは。 この気持ちを失ってはいけな… 「先生!!なんなんですかそれはっ」 「君、これを見て分からないのか?」 と言って自分は助教授に、自分の努力の結晶である“拳大の球”を見せる。 「そ、それは、何度も何度も私を苦しめてきた…」 「……爆弾だ」  
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