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母が運転する車で家を出た。
紗枝の反対も空しく、結局あの日と同じ水族館に行くことになったのだ。
家族全員、魚が好きで、父が家にいる日はよく4人でやって来た。
紗枝が一番好きなのはマンボウだった。
水槽の内側に張ってある網にぶつかっては向きを変えて泳ぎ、また網にぶつかる。
同じ動きを延々と繰り返すのだ。
紗枝は、長い時には2時間近くマンボウを眺めていたこともあり、よく雅樹に呆れられた。
いつもなら水族館に行くと聞いただけで、楽しみで仕方がないのだが、今日はとてもそんな気分にはなれなかった。
さらに、水族館の目の前の交差点を見た時、紗枝の脳裏に、あの時の悪夢が蘇ってきた。
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