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紗枝が再びキッチンに戻ると、既にテーブルの上には朝食が並んでいた。
「あっ紗枝。お兄ちゃん起こしてきて」
母に言われ、紗枝は自分たちの部屋に行った。
雅樹は体勢が変わって、壁の方を向いて、紗枝に背を向けて寝ていた。
「お兄ちゃん、起きて」
軽く呼びかけてみるが、雅樹は小さく唸ったあと、寝返りをうって仰向けになっただけだった。
べッドが小さく軋む。
「お兄ちゃん!」
今度は肩を揺すってみる。
雅樹はその手を払うと、再び紗枝に背を向け「もうちょっと…」と言った。
そんな兄をとても懐かしく感じたが、同時にお母さんという職業は大変だと思った。
「お兄ちゃん!!」
今度は少し乱暴にかけ布団をはぎとってみた。
6歳の力では、少し重かった。
「…なにすんだよ……」
雅樹は普段と違う妹の様子に、少し驚いたようだった。
ようやく身体を起こした雅樹は、目をこすると眠そうにベッドから降りた。
そして、大きな欠伸をしながら、キッチンへ向かった。
紗枝も雅樹のあとについていった。
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