海竜*ラァス

4/7

8人が本棚に入れています
本棚に追加
/7ページ
血に塗れながら、俺は、ラギアクルスを追った。 ラギアクルスは寝ていた。 すぅすぅと寝息を立てる姿を見て、安心した。 それもつかの間だった、 次の瞬間ラギアクルスは血を吐いた。 慌てた俺は回復薬の瓶を 開けて、ラギアクルスの喉に流し込んだ。 すると、ラギアクルスは目を開けた。 マズい・・・、コイツにとっては俺は加害者だ。 殺られる。そう思ったがラギアクルスはまるで、違う行動を取った。 頬を擦り寄せ啜り泣きを始めたのだ。 俺は頭を撫でてやった。 その時、理解した。 この子は女の子なんだ。 俺はラギアクルスの口に秘薬を流してやった。 すると、ラギアクルスはすっかり元気になった様だった。 「じゃあ、帰らないと」 クエスト失敗の届けを、出さねばならない。 恐らく三人については、殉職でなんとかなる。 いくら下位でも、モンスターと戦い、命を落とす事はあるのだから。 その位はギルドも熟知はしている。 ただ、この子と別れる事は辛かった。 しかしこんな所に居ても仕方ないのだ。 歩きだしたその時、 「・・・クゥ。」 普段からは有り得ない、とても愛らしい声を出した。 ただ、それは俺の心を、苦しくさせるだけだった 声から逃げる様に必死で泳いでも泳いでも、 彼女は付いてくる。 憂いを秘めた目で、声でただ追いかけて来る。 エリア4で陸に上がって走っても付いてくる。 俺は諦めてモドリ玉に、手を伸ばした。 「・・・じゃあな。」 「・・・クゥ?」 俺は後ろを見ずに地面にモドリ玉を叩き付けた。 緑色の煙に包まれて、 ベースキャンプに着いた。 いつもの風景。 隣に裸の少女が居る以外は・・・。
/7ページ

最初のコメントを投稿しよう!

8人が本棚に入れています
本棚に追加