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「新しいメイド?」
ええ、そうなんですよ、といつものニコニコ顔でパンを渡す。
それを受け取りながら、当たり前のように、食事の用意を手伝う女、ユーリヤを横目で見る。
「坊っちゃんが捕まっている間、違うお屋敷にご奉公に行っていたんですけどね。
この子とはそのお屋敷で一緒に働いていたんですよぉ」
ねえ、と問いかけるマリーにユーリヤがはい、と笑いながら返事する。
「坊っちゃんが出てくるって知らせを聞いて、私だけじゃ身の回りのお世話も充分にできないだろうから、一緒に働こうと連れてきたんですよ」
可愛いい娘でしょ、と続けるマリーに、俺は何も許可してないし、聞いてもいないぞと思う。
ただ、まだ元気とはいえ、人間でもう初老のマリーには、バレン一人世話するにも大変だろう。
「しかし、王国に見つからなかった隠し財産はあるが、そこまで高い給与は渡せないが……君はいいのか?」
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