―― バレン ――

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暗く湿った檻を出ると、そこはろくに掃除もされていない、長い廊下。 看守に前と後ろにつかれながら、“お仲間”だった囚人達の姿を無表情に見る。 誰も彼も無関心を装い、各々の格好でくつろいでいる。 しかし、内心ではうらやましいのだろう。 バレンは客観的に思った。 ここ5年の監獄での日々は苦しく、地獄のようであった。 だが刑期を終えた今、喜びよりも不安が先立つ。
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