**アリスナ･ベル外伝**

―― バレン ――

「ぼ、坊っちゃん、よっ良かった……やっと会えた……いっ生きてて……生きてて良かった……!」

「ごめん、ごめんよ、マリー……。
ずっと待たせてしまった……もう離れないから安心してくれ」

その言葉を聞き、さらに涙を流すマリー。

しばらく、しゃっくりあげながら泣くマリーをただただ抱き締めた。

やっと泣き止んだマリーが、涙が残る顔でくしゃくしゃに笑いながら、優しく話しかける。

「あらあら坊っちゃん、こんなに汚れなさって!
早くお家に帰って、体を洗いましょうね」

まるで泥んこ遊びした幼児に問いかけているようで、バレンは思わず苦笑した。

マリーと手を繋ぎながら、ただ彼女の話に耳を傾ける。

それは本当に子供の頃に戻ったような、穏やかな時間だった。