―― バレン ――

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******************* 「……驚いたな……なんで屋敷がそのままなんだ?」 豪華な物など一切なくなってはいるが、ほこりもなく最小限の家具が置いてある、懐かしい居間を見渡しながら呆然とする。 「俺達が収容されている間に、全て王国が没収したのかと思ってた」 「最初はそうでしたが、王国の役人のレディアンヌ様が、坊っちゃんが住むお家がなくなるだろうって、また戻してくださったんですよ」 ニコニコ笑いながら無邪気に言うマリー。 そんな馬鹿な、と呆気にとられたが、事実はそうなのだろう。 げんに今、マリーと二人で屋敷の居間でお茶をすすっているのだから。 「戻してくれたのは屋敷だけだろう?ならこの家具は? 見慣れない物だが……」 「それは屋敷にいた使用人達が、出てくる坊っちゃんの為にかき集めてくれたんですよ! 皆、坊っちゃんの帰りを楽しみに待ってたんです」 その言葉に胸がジンときた。 雇い主がいなくなり、仕事がなくなった彼らは、かなりの苦労を虐げただろう。 だけで、そんな罪深い自分などに───。
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