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「…彼らは今は別の雇い主の所にいるのだろう?」
「はい、ですがいつでも彼らなら帰ってきてくれますよ。
あぁいけない、彼らにすぐ知らせなくてはっ。うっかりしてました……」
そそくさと使いを出そうとしたマリーを、バレンが手で制す。
「マリー、やめてくれ」
「坊っちゃん?」
不思議そうな顔をするマリーに、つと目を反らしながら、歯切れ悪く言う。
「その……なんだ、まだ出たばかりだし、まだちょっとマリーとゆっくりしたいなと思って」
それを聞き、老婆の顔がぱぁっと明るくなる。
「まあまあ坊っちゃん!私もですよ!まだ出たばかりですし、無理して働くのはよくありませんしね」
お父様の隠し財産もまだ少し残ってますし、とちゃっかり付け加える。
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