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小学校2年生になると、あの遠足の写真の3人組の一人が交通事故で足を骨折して入院しました。
それが後に親友になる「香(かおる)」。
香の顔も正直はっきりは思い出せなかったけど、先生が病院で寝たきりで寂しくしているというような話をしたから、私は毎日手紙を書きました。
――今日は学校でこんなことやったよ、香はどんな一日でしたか?――
拙い言葉と文字で綴った手紙を、毎日毎日、一日も欠かさず、先生に届けてくれるよう頼んでいました。
香が退院して、その手紙を本当に喜んでくれたことを聞き、心から温かい気持ちになりました。
香が事故ったのは香の信号無視が原因でした。
習い事のバレエに行く途中、遅刻しそうだったので急いでいたそうです。
香は小さい頃からピアノを習っていて、私はそれが痛切に羨ましかったのを覚えています。
女の子らしいピアノと憧れのバレエ。
血だらけの手では、絶対に出来ない習い事。
足をさらすから、絶対に出来ない習い事。
いまでは大切な親友と、これを機に「親友」になりました。
香は、活発で色んな遊びや色んな知識を教えてくれました。
小学校2年生に良い記憶しかないのは、香のおかげかもしれません。
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