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挨拶を終えると、謙也さんは何故か顔を赤らめて、ハッとしたような顔になった。
「ヒカリちゃん、よろしくな!」
(部長、何かこれヤバい反応やと思うんですけど…)
(え、なんで?普通やんか。やって今の財前めっちゃ謙也の好みやもん)
俺と、部長がヒソヒソ話していた間も周りには沈黙が漂って居たようで、何だか居たたまれなくなって俺は口を開いた。
勿論、早く告白して、こんなん終わらせてまおうと思って。そんで振られて、づら脱いで、冗談でした~って言えばええかな?
「謙也さん。会って早々に悪いんですけど………好きです。付き合うてくれません?」
「うん、ええよ」
あっさり過ぎる返事に、そして、予期しなかった返事に、一同がカチンコチン固まった。まるで、氷の世界にいるように。
「ほな、今日一緒に帰らへん?」
「あっ…え……ええですよ」
自分の中でも、かなりマズイ展開になっていることには薄々気づいてはいるけど、そんなに悪い気はしない。自分では分からないけど、不思議と謙也さんのことは嫌いじゃないのかも知れない。
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