序章

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「ここがアビスターナか…。」 黒い目に黒い髪の青年は門の前に立っていた。 「ここにあいつが…。」 そう言って彼は中に入って行った。 「エルオと言う名の情報屋がいるらしいな。」 辺りを見回すと『マナン情報屋』の看板があった。 「あそこだろう。」 建物に入るとカウンターがあり、その奥で子供が何かをしていた。 「すまないがエルオと言う男を呼んでくれ。」 そう言うと奥でしゃがんでいた子供がこちらに来た。 茶色い目と髪の元気そうな少年だ。 「なんだい?」 少年が言った。 「エルオと言う男を呼んでくれ。」 「分かってないなぁ…。僕がエルオだよ。」 「…。そうだったのか…。」 「あはは。まるでフェルが来た時みたいだ。」 「フェル…?誰だそれは。」 少年は驚いたような顔をして言った。 「フェルテスを知らないの!?そっか、ここの外ではあまり知られてないのか…。」 「待ってくれ。フェルテスと言うのは「あの」フェルテスの事か…?」 青年は問い掛ける。 「あんたの言ってる「あの」がどの「あの」だかは知らないけど、多分あってると思うよ。」 「そうか…「紅焔の翼」フェルテスがここに…。」 青年は感慨深げな表情をして、建物を見回した。
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