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気がつくとケネスは、洗面所の床にうつぶせになっていた。
「なんだって俺は汚いタイルの上で寝てるんだ・・・」
起き上がり、記憶をたどる。
朝起き、基地に来た。そしてここで二度目の洗面・・・
誰かが背後にいて、『死神』という言葉を聞いた・・・
記憶をたどり、恐らく基地についてからの記憶は夢か何かだと思った。
きっと酷い二日酔いのせいだと。今頃、同僚は洗面所で爆睡していた俺の姿を、写真にでも撮り笑いの種にしている事だろう。
ケネスは廊下に出た。
しかし、不思議な事に他の人間は一切見なかった。
「人のいる気配がない・・・」
そして、深い霧が広がる。近くすらまともに見えない。
「ここは本当に基地内か・・・」
ケネスは、今いるはずの宿舎から出てみた。
確かに自分が勤めている基地だ。霧が深くても、建物の配置がうっすらとわかる。いつもの通りだ。
しかし、人の気配が全くない。
「おーい!!誰かいるか!」
叫んで見るが何も返事もない。
ケネスはしばらく基地内を歩いたが、どこにも人はいなかった。
「本当に誰もいない・・・」
ケネスは基地の外に出てみようと、ゲートに歩きだした。
ちょうどゲートのところに人影がうっすらと見えた。
「よかった。誰かいた。おーい、何かあったのか!?」
ケネスは呼びかけながら人影に走り寄る。
近づいて来て、だんだんとはっきり見えてきた。
「誰かいてよかった。何かあったのか?さっきまで気を失っていて・・・」
人影がゆっくりと振り向き、こちらに歩きだす。そこで、ケネスは人ではないと気付いた。
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