第一章

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 気がつくとケネスは、洗面所の床にうつぶせになっていた。 「なんだって俺は汚いタイルの上で寝てるんだ・・・」  起き上がり、記憶をたどる。  朝起き、基地に来た。そしてここで二度目の洗面・・・  誰かが背後にいて、『死神』という言葉を聞いた・・・  記憶をたどり、恐らく基地についてからの記憶は夢か何かだと思った。  きっと酷い二日酔いのせいだと。今頃、同僚は洗面所で爆睡していた俺の姿を、写真にでも撮り笑いの種にしている事だろう。  ケネスは廊下に出た。  しかし、不思議な事に他の人間は一切見なかった。 「人のいる気配がない・・・」  そして、深い霧が広がる。近くすらまともに見えない。 「ここは本当に基地内か・・・」  ケネスは、今いるはずの宿舎から出てみた。  確かに自分が勤めている基地だ。霧が深くても、建物の配置がうっすらとわかる。いつもの通りだ。  しかし、人の気配が全くない。 「おーい!!誰かいるか!」  叫んで見るが何も返事もない。  ケネスはしばらく基地内を歩いたが、どこにも人はいなかった。 「本当に誰もいない・・・」  ケネスは基地の外に出てみようと、ゲートに歩きだした。  ちょうどゲートのところに人影がうっすらと見えた。 「よかった。誰かいた。おーい、何かあったのか!?」  ケネスは呼びかけながら人影に走り寄る。  近づいて来て、だんだんとはっきり見えてきた。 「誰かいてよかった。何かあったのか?さっきまで気を失っていて・・・」  人影がゆっくりと振り向き、こちらに歩きだす。そこで、ケネスは人ではないと気付いた。
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