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「……ん、旨い。これなに?」
「えっ、普通にお茄子とお肉を煮ただけですけど…」
嬉しそうに箸を進める要さんを眺めながら、味噌汁を啜った。
要さんとの生活はとても甘くて、いつも私の心を幸せでいっぱいにしてくれる。
仕事の終わる時間が合いそうな時は、会社か駅まで要さんが迎えに来てくれ、
夕飯を相談し合いながら買い物をして帰るのだ。
どちらかが大まかに遅くなる時は、早く帰宅した方が食事とお風呂の支度をする。
ゴミ出しに至っては、出社する前に2人で行うのが常となっていた。
独り暮らしが長かったせいか、要さんは嫌な顔ひとつせず、掃除だって積極的に手伝ってくれている。
逆に私よりも手際が良い位だ。
お互いにその時々に応じた、
“自分に出来る事”を見付けてはこなしていく。
よく、
『最初はしてくれてたのに』
『こんなはずじゃ…』
なんてセリフを耳にするが、
彼もそうなるのだろうか?
どんな事でも、
“継続”は難しい…。
「……要さん?要さんはずっと要さんのままでいて下さいね?」
「…うん?」
3日前に漬けておいたキュウリの漬け物をカリコリさせながら、彼は輝く瞳を上げた。
「……よく判らないけど、
俺は俺以上にも以下にもなれないよ?
…まぁ、大事な所に真珠を埋め込めろと言われれば、やるけど(笑)」
「……んなっ!?なっ何を…!!」
顔が沸騰する私を笑い、要さんはご飯と味噌汁のおかわりを要求した。
「…痛いらしいから、出来れば言わないでね?」
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