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暗い森を深い霧が辺りを覆う
まだ太陽が頭の真上にあるだろう時なのに
辺りは夕闇の様に暗く、更に霧で白く
数メートル先でさえも見えない状況
その中をランタンで照らしながら進む人陰
革製の鞄を持ち、黒いゴシックドレスを
身に纏い、灯で金の髪を輝き靡かせ、進む
その人影-アリスは、霧でしっとりと湿り
頬に張り付く髪を手で払いながら
同じく霧で湿って微かに重くなった服を
欝陶しく思っていた
しかし、早くこの森を抜けたかったので
足を止める事無く進んでいく
暫く進むと、開けた場所に出た
そこは池の様で、しかし広いらしく
霧も手伝って対岸が見えない程である
池に歩み寄り、近くで見つめる
風が無いのに、ちゃぷちゃぷと波打つ
その様子を見ていると、何だか不思議な
気分になってくる
胸が締め付けられ、目頭が熱くなる感覚
「…それ以上見つめない方がいいよ~?」
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