3人が本棚に入れています
本棚に追加
「ちょっと!あんた大丈夫?!」
『....っ。』
少し甲高い女の声に驚き、私は静かに目を開いた。私の顔を覗くようにして、小柄な女が座っていた。
「こんなとこで何してんの?」
周りを見渡すと、なんだか見たことのある景色だけど、いまいちどこだか分からない。
『マンションから飛び降りたんです。もしかして私、生きてますか?』
その女は、怪訝な顔をしながら少し落ち着いた声色で話しかけてきた。
「頭でも強く打ったの?本当に大丈夫?この辺りは、マンションなんてないけど。」
その言葉に驚いた私は、せっかくトーンを下げてくれた女の代わりに、甲高い声を出してしまった。
『い、意味わかんない!ここどこ?!天国?地獄?』
小柄な女の両肩を掴みながら揺らしていたら、女の連れと思われる体格のいい男に押さえられた。
「ここは○○市だよ。まじで病院行った方がいいかもよ?絶対、頭打ってるって。」
小柄な女は本当に心配そうに、私の顔を覗きこんだ。
その時、違和感を感じた。
マンションの近所の光景にそっくりで住所も同じなのに、マンションだけがないことと、その小柄な女に見覚えがあったことに。
.
最初のコメントを投稿しよう!