堕ちた先で

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その小柄な女は、私の知っているその人よりも少し若く感じた。 これ以上、不審に思われないように、声のトーンを落とし、落ち着いた様子で尋ねてみた。 『お名前…聞いてもいいですか?』 小柄な女は黙り、私の目をじっと見つめ不思議そうな顔をした。 それにお構いなく、私は続けた。 『もしかして、市原凪沙さんじゃないですか?』 小柄な女は、驚いた顔をして 「どっかで会ったっけ?」 と言って考え出した。 私の知ってる市原凪沙は、今年で29歳。 この市原凪沙は、どう見てもハタチそこそこだ。 なにかがおかしい… そういえば、隣の体格のいい男にも見覚えがある。 名前を聞いてみると、佐藤雅人と言った。 佐藤雅人も市原凪沙と同い年、市原凪沙と同様にハタチそこそこにしか見えない。 やっぱり、なにかがおかしい…。 .
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