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交易バトルの前日…オレはとある墓地を訪れていた。
里中のことをいろいろ嗅ぎ回ったから、せめて、故人に哀悼の意を捧げたいと思ったのだ。
一昨日出会った里中の友人の説明を思い出しながら、目的の場所にたどり着いた。
先客がいた。
「は、はる…?」
『え?白玉さん?』
はるは驚いた顔でオレの顔をじっと見てきた。
そりゃ、そうだ。
「悪い。いろいろ調べさせてもらったんだ…」
『そう…』
はるは、一返事すると、また墓の前で手を合わせた。
オレも、ささやかではあるが持ってきた缶コーヒーのタブを開けて墓前に供え、黙って手を合わせた。
『まー、この缶コーヒー好きだったんだ』
はるは、いつもの明るく優しい声でオレに話しかけてきた。
「彼の友達に会ってきた…その時聞いたんだ」
『それじゃあ、大体のことは分かっているんだよね』
「そのつもりだが」
『バカな女でしょ』
「いや、そうは思わないが」
『どうして?』
「なかなかできることじゃないからな、仇討ちなんて」
その時、はるの顔が少々こわばったことに、オレは気付いていなかった。
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