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『仇討ちなんてしようと思ってないよ』
「え…?」
『そんなことしたからって、どうしようもないじゃない。まーが帰ってくる訳じゃないもの』
意外な返答にオレは驚きを隠せなかった。
『私が神崎を倒せば、私が交易バトル界で有名人になれるのよ…そんなチャンス、他にないじゃない』
「お前、本気で言ってるのか」
『本気で言ってるのよ。白玉さん、美談を記事にしたい気持ちは分かるけど、私だってそんなお涙ちょうだいで乗りきれるほど世の中甘くないことぐらい知ってますから』
はるはいきり立って言葉をぶつけてきた。
『あーあ、やっぱり明日来ないでください!』
「何っ?」
『気が変わった。邪魔になるから明日は絶対来ないでくださいね!』
そう言ってはるは、走り去っていった。
「お、おい?」
呼び止めようとしたその刹那、すでに、はるの背中は肉眼で確認することができなくなっていた。
「はる…」
気がつけば、辺りは薄暗くなりかけていた。
「あれ、これ何だろう」
そこには、1枚の写真と手紙が落ちていた。
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