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紅
日付は7月9日
場所はとある街。
時間は午後10時。
まだまだ人々が行き交い、閉店が早い店からは光が消える時間。
何処にでもある風景。
その中にあるたった一つの異質を除いて。
何の変哲も無いコンビニから出て来たのは、何処にでもある風景にそぐわない一人の人物。
鋭い眼光。
唇の裏には尖った犬歯。
そして、その存在そのものから放たれるような威圧感。
何より異質なのは、その髪と眼だった。
不思議と、夜の闇に溶け込むように暗い、どろりとした紅色。
そう、まるで―――
血のような、紅。
「……………。」
袋を手にしたその少年はゆっくりと街を歩く。
表情からは何も伺う事も出来ず、何を考えているかも分からない。
歩く内に段々と人通りから離れ、少しずつ人が少なくなっていく。
そして、
「………………。」
不意に、彼の足が止まる。
彼はその紅い瞳で辺りをぐるりと見回すと、
こう、呟いた。
「………もォ、いィだろォがよ……さっさと出てこいよ…」
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