神のつかい子

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神のつかい子

月が出ていたって、闇夜に違いはない。 暗闇に目を慣らす暇も、周りの景色を確かめる余裕もない。 猫に追われるネズミのように、しつこく逃げ回らなければ、殺される。 ずるり、と枯死した葉に足を滑らせ、気付いたときにはもう遅かった。 全身に、強い痺れが広がっていく。 孝太の視界の中では、淡い淡い陽炎が地面から立ち上って、やがて全ては闇に還った。    
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