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「呪われし子はイチハ。神のつかい子はチヨハ様」
「チヨハ?」
「……今夜は、神事がある。コタ、サヤ、ここから出ちゃダメ。月が丸いから」
「確か今夜は、満月だった気がする」
沙弥の言葉に、孝太は不安を覚えた。
いくらこのような状況に陥っているとはいえ、オカルト好きなところは変わっていないだろう。
今ばかりは、歩けないほどのケガをしていてくれて良かったと胸を撫で下ろした。
「神事はどこでするんだ?」
会話に参加したのが嬉しいのか、あぐらをかいた孝太に、衣知羽はにっこりと笑いかけた。
「祠」
「……そうか」
神事と言うからには、村人も集まるだろう。
情報収集とまではいかなくとも、何か有益なものが見られるかも知れない。
村全体の規模で行うのなら、祠での神事に釘付けになっている間に逃げ出すことだって出来るはずだ。
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