35人が本棚に入れています
本棚に追加
彼女らは祠の前で向かい合い、ひざまづいている。
次に目に入ったものは、昨日、ここに来たときにはなかった祭壇。
今夜の「神事」の為、恐らくは村人らの手によって組まれたものだろう。
神官のような男が、少女の前に立つ。
男が腕に抱えているのは泣き叫ぶ小動物……いや、人間の赤ん坊。
キラリ、と刃が光った。
冷たい月の光を反射し、藪に隠れた孝太の目に入る。
鼓動が跳ねた。
目に映る2人の少女、赤ん坊、そして神官が掲げる刀。
孝太は映画を見ている気分でありながらも、生臭い現実も感じていた。
最初のコメントを投稿しよう!