神のつかい子

4/7
前へ
/100ページ
次へ
「コタ、目、覚めたか?」 場違いな明るい声に、二人は呆気に取られた。 沙弥にあの残酷な儀式を隠しきれるのならば、と孝太は笑おうとしたが、枯れ葉が擦れ合うような乾いた空気が喉から漏れるばかりである。 「風呂、入るといい」 見れば、衣知羽は濡れた髪で、上気した顔をしている。 「”神事“のあと、身体、清める」 無邪気な笑顔の衣知羽とは対照的に、孝太は眉間にシワを寄せた。 あの狂宴を見たあとでは、こんな小さな少女でも、禍々しい真紅の目を持つ怪物にしか見えない。 衣知羽の発する言葉は、ひとつひとつを疑ってしかるべきだ。      
/100ページ

最初のコメントを投稿しよう!

35人が本棚に入れています
本棚に追加