古びた鳥居

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そうしているうちにも、沙弥は野良猫のように気ままに、群生した木の間を縫うように歩いている。 しばらくそんな沙弥を眺めていたが、その姿が小さくなり視界から消えてしまいそうになると、孝太はため息をついて、彼女に従う。 沙弥は、半ば朽ちた鳥居の前に佇んでいた。 何かを思い返しているような、どこか眠たげな目。 孝太は沙弥の肩を掴んだ。 身体から魂が抜け出し、ふわりとどこかへ行ってしまう気がして。    
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