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「何かあったら叫べ。俺、何か昨日からダリぃ……」
「じゃ、じゃあ私も行こうかな」
疲れたという孝太を気遣って、沙弥は衣知羽と共に出て行く。
孝太は胸の奥が針で刺されるようにチクチクと疼くように痛んだが、解放感に身体中の緊張を緩めた。
衣知羽が常に手の届く範囲にいるせいで、”神事“の夜に見た狂乱の現場を、まだ沙弥に伝えられていなかった。
鐘の音が鳴る。
頭の中から内側を叩く。
昨日のイメージが余りにも強かったせいだろうか。
孝太は、暗闇に落ちていった。
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