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「千代羽……千代羽はどこにいる?」
昨日に続き、目覚めは最悪だった。
今朝は沙弥までもが具合が悪そうにしている。
ただ衣知羽だけがいつもと同じ通りに、にこにこと笑みを浮かべ、運ばれてきた食事を並べている。
昨夜、何をされたのか、記憶にないのだろうか。
「千代羽さまぁ?」
孝太に話し掛けられて、衣知羽は顔をほころばせた。
「お屋敷。シキさまの、お屋敷」
辛気くさい鳥籠に、いつまでも閉じ込められたままでいてたまるものか。
「案内を、してくれないか?」
飛び出さなければ、今すぐに。
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